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その体験談、都合良すぎない?健康増進法に違反の可能性も


体験談

健康食品の通販サイトでよく見かける体験談

効果があったと笑顔の写真付きでいくつも掲載されてますが、それって企業側に都合が良すぎませんか?

本当に大多数の意見なの?もしかして、たまたま効果のあった人に書いてもらっただけで、大多数の人には効果がなかった可能性もありますよね?

体験談を読んだ一般消費者が本当かどうか判断するには統計的なデータに基づき、その商品には表示のとおりの効果があると認識できる合理的根拠が必要です。

消費者庁はこうした消費者をだますような不当な表現を景品表示法、健康増進法、問題があるとして禁止しています。

そこで健康増進法について詳しくまとめてみました。

 

健康増進法とは?

健康食品の健康保持増進効果について基準となる法律があります。

「いわゆる健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について(平成25年12月24日)」です。
http://www.caa.go.jp/representation/pdf/131224premiums_1.pdf

ここで言う「いわゆる健康食品」について簡単な説明を。

いわゆる健康食品とは?

「いわゆる健康食品」とは、「一般的には、健康の保持又は増進に係る効果、機能等を表示して販売・利用されている食品(栄養補助食品、健康補助食品、サプリメントなど)全般を指すもの」とされています。

また健康食品には「特定保健用食品」と「栄養機能食品」があり、これら2つを総称して「保健機能食品」と呼びます。

特定保健用食品

「健康食品のうち、生理学的機能などに影響を与える保健機能成分を含んでおり、個別に有効性及び安全性等に関する国の審査を受け、特定の保健の用途に資する旨の表示を許可又は承認された食品」です。

栄養機能食品

「特定の栄養成分を含むものとして国が定める基準に従い当該栄養成分の機能を表示する食品」です。

どちらも国が定める法律によって表示内容が決められており、その範囲内で表記するなら景品表示法や健康増進法においても問題はありません

(注:特定保健用食品は健康増進法第26条の規定に基づく許可、又は同法29条に基づく承認を受けた表示内容、栄養機能食品は食品衛生法第19条に基づく基準に従った表示内容)

もっともいくら許可や承認を受けた健康食品でもその範囲を超えた表示を行った場合はもちろん法律違反になる恐れがあります。

 

健康増進法において問題となる表記とは?

健康増進法とは平成14年に施行されたわりと新しい法律です。ざっくり言うと国民の健康作りを支援する法律です。

法律自体はけっこう幅広いことが書いてあるのですが、中でも事実と異なることや、事実を誤認させるような虚偽誇大広告についても健康増進法第32条で禁止しています

同32条の2第1項では「何人も」と規定されており、事業者だけでなく、新聞や雑誌、テレビなどのメディアや広告を取り扱う広告代理店、商品を紹介するアフィリエイトサイトも対象です

また「健康保持増進効果等について著しく事実に相違する表示又は著しく人を誤認させるような表示はしてはならない」と規定されており、この「著しく」についても詳細に言及されています。

要は、もし事実を知っていたら買わなかっただろうと判断されるような場合は「著しく」に該当するということです。

特に、広告ではなく体験談の場合、より信憑性があると普通は考えがちなので与える影響はより大きいため、ウソがあった場合は「著しく」に該当します。

 

事実に相違する表示とは?

ウソ

事実と相違する」とは、広告に表示されている健康増進効果、健康保持効果について、実際とは異なることを指します。

実際には実験結果など合理的根拠がないにもかかわらず、「3ヶ月で○kg痩せることが実証されている」などと表示されている場合や、体験談がないのに捏造した場合、また資料を捏造した場合などが該当します。

 

疾病の治療・予防を目的とする効果の表示

また、本来なら医師の診断や治療がないと治癒が期待できない病気なのに、あたかもそれらがなくても治癒できるように表示することは著しく事実に相違することになります。

例えば「医者に行かなくてもガンが治る」「1日1本で動脈硬化を改善、糖尿病や高血圧を予防!」「○○の主原料の△△は昔から血行改善や高血圧に効くと言われています」などの文言。

いくら特定の成分が何かの病気に効くという噂、評判、伝承、口コミ、学説があっても、直接的・間接的に表示すれば著しく事実に相違することになります。

 

身体の組織機能の一般的な増強・増進を目的とする効果の表示

自然治癒力を高める」「免疫力がアップする」「解毒機能を高める」「体力が向上します」「新陳代謝を活性化させる」「胃腸の消化吸収力を増大」など。

本当に効果があればいいですが、実際にそうした効果が得られない場合は著しく事実に反して人を誤認させるとして景品表示法及び健康増進法上、問題となります。もちろん効果の裏付けとなる合理的根拠の提示が必要です。

 

特定の保健の用途に適する旨の効果の表示

「便秘の方にオススメ」「体質改善や健胃整腸で知られる○○を原料に」「整腸作用に有効な大豆イソフラボンを○○mg配合!」「しっかりお腹の調子を整える」「血圧が高めの方に」「体脂肪がつきにくい」「虫歯の原因になりにくい」など。

特定の保健の用途に適するという効果の表示をした場合において、実際にその効果が得られない場合は上記と同様に問題となります

それが直接的な表現でなくても、起源や由来の説明、医師や学者の談話、利用者の体験談の引用により、そうした効果があると一般消費者が認識する表示をして、実際に効果が得られなければ同様に問題になります。

 

体験談の掲載について

Amazon のレビュー

体験談を投稿するような方はたいてい、ある程度の効果を実感し、商品に対してとても好意的な存在です。

また商品を開発した企業は最初のサンプルとして従業員やその家族など、いわば身内の方にお願いすることも多いでしょう。

Amazonのレビューのように★5つが全体の何%など統計的なデータがあり、良いレビューと悪いレビューを比較できるようになっていたら十分客観性があると言えます。

しかし、体験談が全体でいくつあるのか不明で、好意的な意見がどのぐらいの割合なのか示す数字的なデータもない場合、意図的に良い体験談だけを抽出していると見られても仕方ありません。

通販サイトによっては学術的な根拠を示さずに体験談によって効果を標榜するケースもあります。

悪質なものになると体験談自体がそもそも存在しない、又は体験者や推薦者が存在しないというケースもあります。こうなると著しく事実に反するとして景品表示法及び健康増進法上問題があると言えます。

通販サイトに掲載されている体験談はほとんどが客観性がありません。全体の数%の好意的な体験談だけを掲載していると思っているくらいがよいでしょう。

 

「最高級」「絶対」「誰でも」は使ってはいけない

絶対に痩せる

通販サイトでよくありがちなのが、「配合成分の○○は国内最高品質のものを使っています」など、品質について最高級、最高レベル、日本一、ベストといった表現です。

もし本当にそうならいいのですが、それを裏付ける合理的根拠がないのに、そう表示している場合は著しく事実に反して、人を誤認させる表示になり、景品表示法及び健康増進法上、問題になります。

同様に「絶対痩せられる」「誰でも簡単に痩せられる」など、誰がやっても必ず効果があると一般消費者に認識させるような表現もアウトです。もしそう書くなら裏付ける合理的根拠が必要になります。

 

人を誤認させる表示とは?

その広告に対して健康保持増進効果などがあると「印象」を持ったり「期待」したりする内容と実際の効果に相違がある場合を指します。

具体的には、

・ 特定の成分について、効果等が得られるだけの分量がないにもかかわらず、運動をしなくてもカロリー消費したり脂肪燃焼するようなイメージさせる

・ 効果に関しメリットとなる情報を断定的に表示しているにもかかわらず、デメリットとなる情報が表示されていない、もしくは認識しづらい表示をしている。

(例 効果が現れない者が実際にいること、一定の条件下でなければ効果が得られにくいこと等)

・ 体験者、体験談は存在するものの、一部の都合の良い体験談のみや体験者の都合の良いコメントのみを引用するなどして、誰でも容易に同様の効果が期待できるかのような表示がされている

・ 健康の保持増進の効果等について公的な認証があると表示しておきながら、実際には、
当該効果等に係る認証を受けていない

・ 根拠となる学術データのうち、当該食品にとって不都合な箇所を捨象し、有利な箇所のみを引用する

あくまで「印象」や「期待」なので、仮に文言で表記されていなくても、写真やイラスト、コントラストなどサイトの表示全体で判断されます。

 

まとめ

とくにダイエット食品で顕著ですが、ろくに食事制限もせず運動もしなかったら絶対痩せません!

また短期間で驚くほど体重が減っている例がありますが、適度な運動と食事制限しながら、人が痩せられるのはせいぜい半年で4~5kgくらいだと言われています。

1ヶ月で10kgマイナスなんて痩せ方は普通ではありえないので警戒した方がよいでしょう。

体験談も、いかにももっともらしい文章や写真が掲載されていても、たまたまこの人には効果があっただけで、自分もそうなるとは限らないと思っておきましょう。

サイト上にもっともらしい実験結果で効果があると表示していても、それがマウスの実験なら人に対しても有効とは限りません。

基本的に健康食品では病気は治りません。それは医師の分野であり、健康食品で治癒するという科学的データはありません。

健康食品に対して過度な期待はせず、あくまで不足しがちな栄養を補ってくれる程度のものと認識している方がよいでしょう。

 

 

この記事は以下のURLを参照しました。

健康増進法の参考
http://www.caa.go.jp/representation/pdf/140613premiums_2.pdf

いわゆる健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について(平成25年12月24日)
http://www.caa.go.jp/representation/pdf/131224premiums_1.pdf

 

 

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