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ルテインの1日の摂取量と過剰摂取の副作用


ルテインの一日の目安摂取量はどのぐらいでしょうか?また、過剰摂取で副作用が出るのはどのくらいの量なのでしょうか?

ルテインを安全に飲むために欠かせない情報を、ルテイン研究が日本より進んでいるアメリカの最新の研究報告から紹介します。

摂取量

ルテインの1日の摂取量の目安は?

今のところ、日本の厚生労働省ではルテインの正式な推奨摂取量は設定されていません。

ということでアメリカの研究を参考にするわけですが、アメリカ人と日本人では同じルテインでも推奨摂取量は異なると考えた方が自然でしょう。なのであくまで目安です。最終的には日本の厚生労働省がきちんと調査して正式に発表してほしいところです。

ルテインの研究は日本よりもアメリカの方が進んでいますが、そのアメリカでもルテインの推奨摂取量については見解が分かれており、多くの研究報告が発表されています。

また、病気じゃない段階で、目の健康の維持や眼病の予防のために飲む量と、すでに目の病気で治療・改善を期待して飲む量とでは摂取量も違ってきます。

目の健康に貢献する量として推奨されている量で一番一般的に広まっているのは1日あたり6㎎、もしくは10㎎という数字です。

 

1日6mgの根拠とは

その根拠となる研究報告をいくつか紹介します。

1)ルテインの研究ではアメリカのハーバード大学のヨハナ・M・セダン(あるいはヨハンナ・M・セドン)博士が有名で、それによると、「]1日あたり6~10㎎のルテインの摂取によりポジティブな健康効果が見られた」とされます(※1)。

2)セダン博士の同じ研究からは「1日あたり6㎎のルテインの摂取で黄斑変性症のリスクを43%低下させる」ことも明らかになっています。

3)看護婦の健康調査で1日あたり6㎎のルテインとゼアキサンチンを摂取していたグループは白内障手術のリスクを低下させることが明らかになりました(※2)。

ちなみに他サイトで「アメリカの農務省では1日4~7㎎の摂取量を推奨している」と書いてあるのを見かけますが、どのサイトも根拠となるURLを載せていません。自分でも調べてみたのですが、今のところ見つかっていません。なので非採用です。

 

1日10mgの根拠とは

また10㎎を目安とする意見もあります。その根拠は「AREDS2」と呼ばれる大規模な臨床実験です。

ユタ大学のバーンスタイン博士らによって行われた大規模な実験(AREDS2)では全米85ヵ所の施設で合計4,200人のAMD(加齢黄斑変性症)の患者が5年間にわたる追跡調査の対象となりました(※3)。

ルテイン10㎎、ゼアキサンチン2㎎、亜鉛80㎎、銅2㎎、ビタミンC500㎎、ビタミンE400IUを処方した結果、加齢黄斑変性症のリスクが20%低下することが明らかになりました。

特にAREDS2の研究成果はその後のルテインの摂取量を決定づけるほど影響力があり、アメリカ検眼協会など多くの団体や文献でもよく引用されています。

すでに目の病気で進行を予防したいならルテインは1日あたり10㎎以上を目安に摂取するといいでしょう。

 

ルテインは過剰摂取するとどんな副作用があるの?

ルテインは過剰摂取しても副作用はありません。ただし、1例だけ被害事例はあります。また副作用について検証した実験もあるので紹介します。

 

柑皮症の事例

ルテインを過剰に摂取すると皮膚が黄色に染まることがあります。これを「柑皮症(かんぴしょう)」と言います。柑皮症とはカロテノイド色素を大量に食べると皮膚がみかんのように黄色くなる症状のことです。

ルテインの唯一の被害事例としては2005年に62歳の女性がルテインを毎日2年間摂取 (摂取量は不明) したところ、柑皮症を発症した例があります。

なお、摂取中止後、2ヶ月で正常になり治癒しています。2005年のこの1例以外は現在まで新たな被害情報は報告されていません。

国立健康・栄養研究所のデータベースによると「経口で適切に摂取する場合、おそらく安全である」と記載されており、安全性の評価は十分であると言えます。

全体的には、ルテインは人が食べる食べ物の成分であり、その安全性は国内外の権威ある機関、さまざまな研究結果の毒性学的評価によっても証明されています。

 

プロオキシダント作用

ちなみにこれまでに行われた実験によると、厚労省から資金提供を受けた徳島大学大学院が、24歳の健康な男性に1週間連続でほうれん草ピューレ(ルテイン35㎎、βカロテン22.3㎎)を摂取させたが、体の酸化を促進するプロオキシダント作用はルテインには認められませんでした(※4)。

(注:プロオキシダント作用とは生体内では抗酸化物質として作用している生体物質が、逆に酸化を促進すること。特にビタミンCは大量摂取すると健康に悪影響)

この実験では結論として、ルテインなどカロテノイドはサプリメントではなく食事成分として1日あたり30㎎程度を摂取したとしてもプロオキシダント作用をもたらす可能性は低いとされています。

ただし上記の文献ではサプリメントで大量にルテインを摂取した場合にプロオキシダント作用が起こる可能性を示唆しています。つまり食事とサプリでは違うということですね。

 

ルテインの1日の最大摂取量はどのくらい?

ルテインの1日の最大摂取量(摂取許容量)については諸説あります。

「35mg」の信憑性はイマイチ!?

上記の徳島大学大学院の実験を根拠にルテインは1日35mgまで大丈夫だ、と主張するサイトもあるようですが、1人の人間の実験結果で判断するのは統計的にも見ても良いとは言えません。したがって、私としてはこれはあくまで参考意見に留めたいと思います。

 

「2mg/kg体重」は逆に多すぎ!?

国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の下部組織である食品添加物専門委員会のJECFA(Joint Expert Committee on Food Additives)では2004年にマリーゴールド由来の結晶ルテイン及びゼアキサンチン合計の1日摂取許容量について、「0-2mg / kg体重」と評価しています(※5)。

ただ、これってマウスを使った実験です。人で実験したわけではないのであまり信用はできません。これが本当なら体重50kgの人の場合、1日に100mgまでOKということになり、さすがにそれは多すぎでは?と疑問を感じます。

 

「1mg/kg体重」も同じく疑問

似たような数値で「1mg/体重」というのがあります。これはヨーロッパのEFSA(欧州食品安全機関)で2010年にルテインとゼアキサンチンのADI(1日摂取許容量)を1mg/kg体重」と設定しています(※6)。

そしてこれもマウスで90日間実験した結果です。人に適用するなら人で実験しないとダメでしょう。

 

「20mg」は妥当かも

というわけで一番妥当だと言えるのが20mgです。

ルテインやリコピンなどカロテノイドのリスクについて評価した論文によると、ルテインの安全上限量は1日20mgの設定が妥当であると評価しています(※7)。

飲むなら過剰摂取はやめて、適量を毎日飲むようにしましょう。

 

 

まとめ

当記事の結論をまとめると、こうなります。

1日あたりの推奨摂取量は

・目の健康のためなら6mg

・目の治療目的なら10mg

1日のルテインの摂取許容量は20mg

 

ルテインを食べ物から摂るなら、ルテインを含む食品リストに野菜・フルーツ別の含有量があるので参考にしてください。

卵も含有量は少ないですがほうれん草よりも吸収率が3倍高いのでおすすめです。卵に含まれるルテインのスゴイ効果についてはこちらの記事でどうぞ。

ルテインのサプリを選ぶ際は、ルテインが6㎎以上、できれば10㎎以上配合されているものを選びましょう。

 

ちなみに選ぶポイントが他にもあって、

1.ゼアキサンチンを含んでいること

2.ビルベリーエキスを含んでいること

実は、ルテインは脂溶性のため、体内では吸収されづらい性質がありますが、ゼアキサンチン、ビルベリーエキスのどちらもルテインと一緒に摂取することで吸収率がアップし、相乗効果を高めます。

薬局で見かける市販のルテインサプリだと、ビルベリーが入っていないことが多いので片手落ちで残念です。

通販だとドクターズチョイスのルテイン40㎎と「めなり」の2つのみが上記の条件を満たします。

私はどちらも飲んでみましたが、効果に差は感じませんでした。

ドクターズチョイスはルテインが40㎎入っていますが、ルテインの1日の摂取許容量から考えると少し多すぎます。治療目的の方以外には進められません。

それにドクターズチョイスは外国製なのでサプリの粒が大きくて喉にひっかかります。めなりに比べるとコスパも高いし継続しづらいので私はめなりの方をオススメしています。

めなり

→ めなりの解説記事はこちら

めなりの公式サイトはこちら

 

注釈

※1:セダン博士がアメリカの医学雑誌JAMAに1994に発表した報告が「 “Dietary carotenoids, vitamins A, C, and E, and advanced age-related macular degeneration. Eye Disease Case-Control Study Group“. Seddon JM, Ajani UA, Sperduto RD (November 1994).JAMA. 272 (18):」。

同研究を根拠にして記述されたWikipedia米国版には「Some positive health effects have been seen at dietary intake levels of 6–10 mg/day(1日あたり6~10㎎のルテインの摂取によりポジティブな健康効果が見られた)」と記述があります。

※2:アメリカ検眼協会(American Optometric Association)はルテインの摂取と白内障のリスクについて以下の4つの研究結果から結論を導き出しています。(Lutein and Zeaxanthin – Eye-Friendly Nutrients

1.看護師を対象にした健康調査によると、大量のルテイン+ゼアキサンチンを摂取すると白内障手術の必要性が減ることを発見した。この群の摂取量は1日約6mgだった。
2.別の研究でははまた、ルテイン+ゼアキサンチン(6.9mg /日)の摂取が白内障手術の必要性を低下させることを発見した。
3.5年間の眼の調査では、最も多くのルテイン+ゼアキサンチンを摂取した人が、最も少ない量を摂取した人よりも新しい白内障を発症するリスクがはるかに低いことが示された。
4.イギリスの66-75歳の372人の男性と女性を対象とした研究では、特定のタイプの白内障のリスクが、血液中のルテインの量が最も多い人々において最も低いことが分かった。

※3:AREDS2については「AREDS2とその研究結果がルテインとゼアキサンチンにもたらす影響」「2013年の栄養と黄斑変性に関する最新情報」が日本語で分かりやすくまとまっています。

※4:「日本人の食事摂取基準(栄養所要量)の策定に関する基礎研究」(平成18年度)厚生労働省基礎研究班

「健常人被験者(24才男性)は摂取1週 間前からサプリメント類を摂取禁止し,緑 黄色野菜の摂取も極力さけた.実験開始か ら1日 160ml 缶入りニンジンジュース3缶 (トータルで β-カロテン 31.2mg 摂取)あ るいは1日ほうれん草ピューレ450g (トータルで β-カロテン 22.3mg,ルテイン 35.0mg)を1週間連続摂取させた」上記URLより引用

※5:国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の下部組織であるJECFA(Joint Expert Committee on Food Additives)の報告書のPDFはこちら。ただし、このPDFは見てもよく分からないので、こちらのページをどうぞ。ちなみに「Tagetes erecta」とはマリーゴールドのことです。

JECFA によるとマリーゴールド花由来で総カロテノイド80%以上、ルテイン70%以上、ゼアキサンチン9%未満の純度のものに対してADI(一日摂取許容量)が0~2 mg/kg 体重と評価している(注:体重50kgの場合、100㎎までという意味)

※6:EFSA(欧州食品安全機関)では2010年食品添加物としてのルテイン、ゼアキサンチンの再評価に関する科学的意見書を公表し、ADIを1mg/kg体重/日(体重50kgの人であれば50mg/日)として設定している

European Food Safety Authority (EFSA),Scientific Opinion on the re-evaluation of lutein (E 161b) as a food additive,EFSA Journal,8(7),1678,2010.

※7:Shaoらは米国FNB(Food And Nutrition Board)が使用するリスク評価方法に従い、2006年までのルテインのリスク評価をシステマティックレビューにより実施し、全トランス型としてのルテインの安全上限量(OSL:Observed Safe Level)は1日20mgの設定が妥当と評価している

Shao A et al.,Risk assessment for the carotenoids lutein and lycopene,Regulatory toxicology and Pharmacology,45,289-298,2006.

 

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